OSA日記

旅と食と健康とメンタルと

四国遍路 1_2

10月6日

宿坊はビジネスホテル並だが、寺だけに朝のお勤めがある。自由参加とのことだが当然参加することにする。指定された6時に集合場所に行くと結構な人数が待っている。宿坊から本堂に渡る廊下には最新のセキュリティがかけられており、やがてやって来たお坊さんは警報装置を解除してシャッターを開ける。最新の防犯設備の向こうは古めかしい廊下と本堂で、そのギャップが面白い。早朝から本堂で般若心経を唱えるのはとてもすがすがしく、住職の講話を聞いた後、食事も美味しくいただいた。 

今日もいい天気だ。気持ちよく十楽寺を出発し8番に向かうが、いきなり道を間違え車が多く行き交う道を延々と歩く羽目になる。

1時間弱で到着した8番熊谷寺は大師堂が工事中で、仮のお堂が下にあったのでそこでお参りする。ここの山門は車道からだいぶ下ったところにあり、歩き遍路でないと通れないので少々小気味が良い。ここからは田んぼの中の気持ちよい道を歩く。

2キロ程度の距離なので、程なく9番法輪寺に到着。参拝、納経の後、東屋があったので休憩に寄ってみる。東屋には地元のお年寄りが井戸端会議をしていて、休憩しているといろいろ話しかけられたりする。四国では遍路はごく普通の存在のようで、この後も気軽に声をかけられることになる。
 
次の10番までもそんなに距離はなく町中を歩いていくが、札所は山の中腹にあり、最後に急な坂と合計333段の石段を登らなければならない。息を切らして登っていく横を団体の乗ったマイクロバスが次々と追い抜いていく。やっとのことで10番切幡寺に到着。境内は先行していった団体で大賑わいだった。

切幡寺への上り

参拝後に訪れた納経所は団体の納経帳を大量に抱えた添乗員らしき人でふさがっていて、なかなか順番がまわってこない。団体客は寺にとっては稼ぎ頭かもしれないが、個人をないがしろにされているようで気分の良いものではない。随分待たされた末にようやく納経し、同じ道を戻り石段を下って、麓の門前町うどん屋を見つけ2日連続でうどんを食べる。 

今日の行程は次の11番までだが、距離は約10キロとけっこう長い。のんびりと歩いていくが、町中を抜けると景色が広々していて、四国三郎とも呼ばれる堂々たる吉野川を渡る。橋は増水したときには水面下に沈む沈下橋で、道幅は細くて欄干もなく味わいがある。橋を渡った先の中州の風景は広々としていて天気もよく、まことに気持ちが良い。

際立った絶景ではないが、こんな気持ちのいい風景はなかなかお目にかかれない。振り返ってみると、先ほど参った切幡寺が山の中腹かなり高い位置に見えている。中洲はかなり広く、かなり歩いたあと吉野川本流をもう一つの沈下橋で渡るが、大河であるのに水のきれいなこと。やはり四国はいいと2日目にして思う。

吉野川沈下橋

堤防を上がると町中を通って交通量の多い国道へと進路をとる。コース唯一のコンビニに寄るためで、明日のためにいろいろ食料を仕入れた後先を急ぐ。 

本日最終の11番藤井寺には14:30に到着。早い時間なので境内でゆっくりしていたが、またもや団体が到着、納経帳を抱えた人が大勢やってきたので慌てて先んじて納経するが、全く油断も隙もない。それにしても団体の人は、移動はおろか納経まで人任せにしてしまってそれでいいのだろうか。これではまるでスタンプラリーだ。歩くのが偉いとは言わないが、なにか釈然としないものが残る。 順番が逆になったが、参拝して札所を出る。

11番藤井寺

本日の宿は寺の目の前のはずのF旅館だが、あたりを見渡してもそれらしい建物がない。よくよく見ると隣にある民家と思しき建物が旅館だった。 ここは明日の難所のベースともなる位置にある一軒宿で、とても人気が高いらしい。早めに予約していたので泊まれたが今日は満室で、数キロほど離れた宿に行かざるを得なかった人がけっこういたようだ。

夜はまたもやAさんと同じ。マメを作って痛そうだったので、用意していたマメ用絆創膏を差し上げる。同宿の方は皆楽しい人たちで、食事時はとても盛り上がった。みな同じ歩き遍路なので話題も共通だし、先達も多くいろいろと情報収集もできた。

楽しい食事を終えて部屋に戻るが、この宿は部屋にテレビもなく、隣とはふすま1枚隔てただけで鍵もない。遍路宿とは本来このようなものらしいだが、慣れないうちは少々違和感を感じてしまった。
明日はいきなりの難所なので、早々に寝ることにする。 

本日の総歩行距離は約20キロ。