OSA日記

旅と食と健康とメンタルと

四国遍路 6_1

某年4月28日~29日

1日目

夜行バスのチケットは1ヶ月前からの予約となる。今年も3月頃から計画を練りはじめ、休日取得も含めて日程や行程を組み始めた結果、4月28日の夜に出発、5月5日の朝に帰宅ということになった。

バスも宿も順調に予約できていったのだが、帰りのバス予約だけは一悶着。1ヶ月以上前にも関わらずネットで「満席」になっていたのだ。慌てて名鉄バス予約センターに問い合わせたところ、往復で買う人の「復路」が予約できるのでそれで満席になったとのこと。それでは片道だけの人間はどうすれば良いのかと聞くが、「申し訳ありません」としか言わない。謝られても仕方ないので何とかならないのかと聞いたが、こちらではどうもできず、共同運行している伊予鉄道に聞いてくれとのこと。

なんでこちらがダメであちらが良いのか分からないが、ともかく埒があかないので早速伊予鉄道に聞いてみると、確かに復路分で予約は入っているが片道の人のために席は確保してあるので1ヶ月前に予約して欲しいとのことで、後日なんとか席を確保することができた。

4月28日は例によって仕事が終わってから夜の出発となるが、今回の「しまんとブルーライナー」は大阪から乗車することにしたので若干時間に余裕がある。ゆっくり風呂に入り荷物等を確認したあと家を出発。地下鉄で名古屋駅、新幹線で大阪へと前回と同じ行程。時刻が遅いせいかどちらの列車もすいていて、京都発にしなくて正解だった。

22:55定刻に「しまんとブルーライナー」は東梅田を出発。前回と違って早く予約したため1号車をとることができ、3列シートである(前回は増便の3号車で4列シートだった)。いつものようにそれなりに熟睡し、翌朝は若干早着の7時過ぎに三原分岐に到着。三原分岐は前回打ち終えた土佐くろしお鉄道平田駅の最寄りバス停で、大阪からダイレクトにここまで来ることができ非常に便利だ。

すぐ横のコンビニで買い出しした後平田駅まで歩いて行き、前回も利用した広いトイレで準備。待合室のベンチで朝食替わりにおにぎりをほおばっていると、早速お遍路姿の人が入ってきた。挨拶をして話しをすると、遍路は今回3回目で、もう歳も歳だから列車やバスで行けるところは利用するつもりとのこと。歳を聞くとなんと80歳で、とてもそう見えない人だった。

白衣をはおり菅笠をかぶり、8時出発。今日は雲一つない快晴だ。

しばらく集落の中を歩くと程なく広々とした田園地帯を行く。真っ青な空と緑の田園地帯の間を一直線に進んでいく鉄道の高架が良いアクセントになっている。しばらくして国道56号線に出ると、前回終了した39番延光寺へと通じる分岐点を通過、ここから新たな行程となる。

青空と鉄道高架

相変わらず交通量の多い国道を宿毛市街に向けて歩く。夜行で着いたばかりで身体が本調子ではないので、準備運動を兼ねてゆっくり歩いていき、1時間ほどで橋を渡って宿毛市街に入る。味のある市街を抜けさらに1時間くらい歩いたところの宿毛貝塚公園で休憩。

宿毛のまんじゅう屋

舗装路はここまでで、ここから遍路みちに入っていく。木陰を歩くのは気持ちいいが、しばらく雨が多かったせいか道がぬかるんでいて少々歩きづらい。このまま峠に上がって行くのかと思ったがしばらくあまり勾配がない道が続き、時々集落に出てはまた山道に入るのを繰り返す。

やがてある集落から上がって行く道に入り、松尾峠への本格的な登りになる。松尾峠は高知と愛媛の県境の峠で、標高は300mとあまりたいしたことはない・・・と思っていたが、いつもの如く予想以上にきつい道が続く。道も荒れていて歩きにくく、まだ身体も慣れていないのか息が上がってくる。

松尾峠へ

12時頃ようやく峠に到着。ここには松尾大師跡と、土佐と伊予の国境の碑があり、とうとうここから菩提の道場伊予の国に入る。これまでの長かった道のりを振り返り、これからまだまだある道のりに思いをはせながらしばし休憩。

ここから伊予の国

といってもこの峠は展望もないので、せっかくだから350mばかり寄り道をしたいと思う。歩き遍路をしていると1mたりとも寄り道などしたくないものだが、この先に純友(すみとも)城跡という展望のよいところがあるとのことで、もう少しがんばって登って行く。

やがて到着した純友城跡には展望台があり、宿毛の町や入り組んだ海岸線などの展望がすばらしい。純友城というのは、平安時代に乱を起こした藤原純友の城があったところらしい。

純友城からの景色

風景を堪能したあと松尾峠まで戻り、東屋でしばし休憩。先客で外人の遍路がいたが、すぐに出発してしまった。ここからはだらだらとした下り坂が続く。上りと違って手すりがあったりして道は整備されていて歩きやすい。しばらく歩くと車道に出るが、そのままさらに進んでいく。

やがて一本松の町に入っていくが、この辺りには当然の様に食べるところがない。今回も昼食には縁がないかと思いながらも、国道を渡るときに遠くにコンビニを発見。遠回りしてコンビニに行くが、昼下がりで食べ物はほとんど売り切れており、コールスローサンドとじゃこカツという訳の分からない取り合わせを購入。休憩するところもないので歩きながら食べるが、さすが愛媛のじゃこカツは旨かった。

道はこのまま平坦かと思ったが、随所に上り下りがある。途中のヘアピンでは、地図では車道に沿って行くコースが示されているが、遍路道の案内は急な下り道を示していた。せっかくなので案内に従って進む。

道はかなりな急坂だったがそれだけ早く下ることができ、あっという間に元の車道に。しばらくしてさらに案内があったのでそちらに進むと今度は急な上りだ。遍路道はつづら折れの道をまっすぐ進むのでアップダウンが激しい。息を切らせて上って行くと、ようやく平坦な道に出る。

やがて道は僧都川の土手道となり、太陽の反射できらきらする水面を眺めながら気持ちよく歩く。ここまで来たら終点も近い、と思っていたので最初は足取りも軽かったが、いつまでたっても町に入らないといういつものパターンだった。だんだん疲れて脚が痛くなってきた頃にようやく橋を渡って御荘の町に入る。

僧都川沿いの道

16時を過ぎて40番観自在寺に到着。ここは1番札所から一番遠いので、「四国霊場の裏関所」と呼ばれているそうな。

 

今日のエネルギーをすべて使い果たしたような感じでベンチにへたり込む。しばらく魂が抜けたような状態で休憩してからいつもの手順で参拝し、納経する。清々しい気持ちで札所を堪能した後は宿に入るだけだ。

裏関所と呼ばれる40番観自在寺

本日の宿であるY旅館は門を出てすぐの所にある。相変わらず遍路宿は親切で、洗濯はお接待でやっていただけるとのこと。食事も海のものが中心で美味だったが、今回はビールを控えようと思う。

本日の歩行は52100歩!約29キロの道のりだったが、峠があると歩数も増えるようだ。
21時、早々に就寝。