OSA日記

旅と食と健康とメンタルと

18切符旅アーカイブ 東北編2

2日目は4:45起床。
旅の間は早起きしないといけないが、寝不足で少々つらい。

今日のコースは食事にありつくことが困難な事が予想されるので、あらかじめ食料を仕入れておこうと、昨夜目星をつけていた地下道にあった24時間営業のコンビニに向かう。

ところが肝心の地下道が扉でふさがれており、しからばと別の入り口から入ったが同様。いくら店が24時間営業でもそこへ行く道がないのではどうしようもない。

仕方なく駅構内にあったコンビニにも向かうが、2軒とも閉店している。駅構内にあるんだから駅の営業に合わせてくれと悪態をつくがあいていないものは仕方ない。途方に暮れて駅前を眺めると、道向かいに開いているコンビニを発見し、事なきを得るが前途多難である。

花輪線経由大館行きの列車は5:41盛岡を発車。途中の好摩までは、新幹線開通に伴い第三セクターとなった岩手銀河鉄道線を走るので、別料金。

こんなに早朝に田舎へ向かう列車の割に、乗客には若い女性が多い。いったいどこに行くのだろうと思ったが、花輪線が分岐する好摩までですべて下車してしまい、乗客は全編成に私一人となってしまった。

列車は山へ分け入っていき、次第に雪が深くなっていく。途中の安比高原辺りは明るくなってきたが、見渡す限り豪雪で埋まっている。八幡平を擁するこの辺りはスキー場が多いのだろうか。

豪雪の花輪線

秋田県に入り中心都市の鹿角花輪駅を過ぎると、行き止まりの十和田南駅に到着、ここで列車は向きを変える。
十和田南はもともと毛馬内(けまない)という名だったが、観光地にでもあやかったのか名称を変更。このような例は全国にあり、伝統ある名称がなくなるのは嘆かわしい事だと思う。

雪が少なくなり、奥羽本線を立体交差で越えると、8:33大館に到着。ここから弘前方面の列車は10:00までなく、これでは後のスケジュールが成り立たない。背に腹は替えられず、好接続で発車する寝台特急あけぼので弘前に向かうことにする。4分のわずかな待ち合わせ時間で、8:37大館出発。

寝台特急あけぼの

寝台特急といえども夜が明けると寝台を解体して座席となる。この列車も羽後本荘からは座席使用の特急として利用でき、立席特急券という、席が空いていれば座っていいですよという切符で乗れる。検札に来た車掌から切符を購入し、席でくつろぐ。

寝台特急の割によく揺れながら、9:18弘前到着。ここからは鉄道ファンに人気の五能線に乗ることにする。この線は明るいうちに直通で乗れる列車はこれから乗る9:24発くらいしかないので、さぞや乗客が多いだろうと覚悟していたが、意外と少なくボックス席を占領できて一安心。津軽三味線の出発音楽に送られて定刻に発車。

2つ先まで奥羽本線を走ると、分岐駅の川部で方向を変えて五能線に入る。周りはリンゴの木だらけだ。20年以上前にこの線に乗ったことがあるが、その時はリンゴの白い花が咲き乱れるなか、岩木山がよく見えていたのを思い出す。今日はもちろん山などは見えない。

ゆったりした乗り心地を満喫するうちに、中心駅の五所川原に到着。ここからは太宰治で有名な金木方面へ向かう津軽鉄道が分岐する。有名なストーブ列車もあり、鉄道ファンらしき人が数人乗り換えていく。

10:45到着の鰺ヶ沢でしばらく停車するとのことで、駅前に出てみると駅前広場の向こうにスーパーが見える。コンビニのおにぎりにも飽きたのでいいのがないかとスーパーに入ると、おいしそうな総菜をいくつか手に入れることができた。地方のスーパーに入るのは楽しい。

鰺ヶ沢を出発し、しばらくすると海沿いに出てくる。昨日は太平洋で、今日は日本海。大荒れと聞いていたが波はたいしたことない。・・・と思っていたら、北金ヶ沢駅から強風のため徐行します、というアナウンスがあり、そこから自転車が走るくらいの速度でノロノロ運転になってしまった。外を見ても大した風でも波でもないのに、と思いながらも列車はゆっくり進み、どんどんダイヤから遅れていく。

日本海の波濤

終点ではかなり待ち時間があるのでまあいいか、と思っていたら、とある岬をまわった途端にすごい強風になり、波も恐ろしいくらいの波濤になって驚いた。列車はそんな波の際をぎりぎりで走り、恐ろしいくらいの光景となる。駅名も風合瀬(かそせ)とか追良瀬といった海に関係ありそうな名前が続く。白眉は「驫木(とどろき)」で「車」ではなく「馬」が3つなのが興味深い。

驫木

その辺のアトラクションなんかよりよほど迫力がある光景を眺めながら、30分遅れで終点の深浦に到着。五能線はまだまだ続くが、いったん駅舎に入りストーブにあたる。当初は食堂か喫茶店でも探すかと考えていたが、窓に吹き付ける強風の様相にとても外に出る気にはならず、鰺ヶ沢で買った総菜を食べながらじっとする。

深浦駅で乗り換え

駅舎にはやたらと電話が鳴り響き、駅員が都度応対に出ていて、まさかこの強風で列車が運行停止になるのでは、とびくびくする。こんなところに閉じ込められたら駅で寝るしかなく、この後の行程がめちゃめちゃだ。電話が鳴るたびにこちらまで心配していたが、やがて列車は運行する旨が駅員から告げられてほっとする。

ただ、当駅で交換する下り列車が遅れているとのことで、それを待って30分遅れで出発。列車が本当に動き出した時は心底安心した。

風雪は相変わらず強いが先ほどとは打って変わって普通の速度で走る。荒天の時はやはり列車が一番力強いなと思いながら、日本海の荒波を堪能する。この旅はこの光景に会いに来たようなものだから、車窓をずっと飽きずに眺めていた。

列車は遅れをいくらか取り戻し、終点東能代には10分遅れくらいで到着した。東能代奥羽本線との接続駅だが、能代市の外れにあり駅前にはこれまた何もない。待合室には水槽で秋田の名物魚ハタハタが泳いでおり、しばらく眺めていると上り秋田行きの出発時間が近づく。

16:28発の秋田行きはロングシートの2両編成。ここまでずっとディーゼルに乗ってきたため電車の素晴らしい加速は新鮮だ。スピードも100キロ近く出して快速で走る。

居眠りをしているうちに終点に近づき、16:33定刻に秋田着。乗り継ぎもスムーズで、2日目最後の新庄行きは6分の接続。

秋田新幹線の線路と併走しながら、電車は雪の中をひた走る。車外はすっかり暗くなった上に、窓がすべて曇ってしまい周りは何も見えない。田沢湖線の分岐駅である大曲を過ぎ、歴史のにおいのする駅名の「後三年」駅を過ぎると、18:59に本日の宿泊地横手に到着。

駅前のビジネスホテルに投宿。4800円という低価格の割にきれいで快適な宿だった。

まだ早いので荷物を宿に置くと、雪の降りしきる中夕食をとりに外に出る。フロントで貰った地図から、横手焼きそばを供してくれる店を見つけたので、カチカチの雪で滑って転ばないように気をつけながら、人気のない街中を歩いていく。

目玉焼きと福神漬けが印象的な横手焼きそばをおいしくいただくと、帰りにコンビニで買い出しをしてホテルに帰る。

いろいろあったが無事に計画をこなせたことに満足しながら眠りにつく。