OSA日記

旅と食と健康とメンタルと

農業ボランティア

かなり以前から、農業には興味を持っていた。

世の中がどんなに進んでも、デジタルだのバーチャルだのAIだの言っても、生き物である以上、人間は食べなければならない。食べるものを作るのは農業である。

なのに、あまり農業に関心がない人が多いような気がする。農業どころか、食べることにも興味がなく、インスタント食品ばかり食べている人もいる。スーパーにものがあるのは当たり前、震災などでものがなくなって初めてパニックになったりする。

とは言っても、自分も農業に接点があったわけではなく、情報として得るものばかりだった。

まだ名古屋に住んでいる時に、何かで「農業ボランティア」という言葉を聞き、興味を持った。調べてみると、都市部の農業に興味のある人が、人手が足りない農村へボランティアに行って、農業を肌で触れるというものだった。

家庭菜園などではない本格的な農業なので、一度やってみたいと思いもっと調べてみると、情報があったのが長野県と兵庫県だった。距離的には長野県の方が近かったのだが、地元が兵庫県でいずれ帰りたいと思っていたので、兵庫県で考えることにした。

兵庫県楽農センターという公社が主催していたので問い合わせたところ、県内に40数箇所、ボランティアを募集している集落があり、それぞれ品目や活動が異なっているとのこと。ホームページに詳細が掲載されていたので、いろいろなところをのぞいてみて検討することに。

距離的なこともあり、なかなか決定打がなかったが、そのうちの2ヶ所に決めて登録し、その後何か連絡が来るのかと待っていたが、一向になしのつぶて。

痺れをきらして再度センターに連絡したが、集落に問い合わせてみます、というだけで、どうもセンターは紹介するだけで、こちらから連絡しなければならないような雰囲気。

そうこうしているうちに、楽農センターのホームページに催しが掲載され、とある集落で草刈りの予定があり、40人くらい募集している。ちょっと遠い場所だったがこれも経験だと思い申し込んでみた。

当日は神戸から送迎バスも出ていたが、こちらは名古屋からなので、早朝から自家用車で出かけることに。数時間かけて走り、ちょうど着いた頃に、バスも到着していた。出迎えてくれた地元の人は、車が名古屋ナンバーなので目を丸くしていた。

バスから続々と人が下りてきて、夏の暑い日にタダで草刈りをするなんて自分くらいかと思っていたので、こういったことに興味がある人が多いことに驚いた。

まずは公民館に入り挨拶を受け、早速作業に入る。草刈機が足りないので、グループに別れて交代でいろいろな作業を行うことに。私は先に草刈機を使うことになったが、もちろん使ったことなどない。かといって、懇切丁寧な説明を受けている時間もないので、簡単に使い方を教わった後、早速実地に入る。

最初は戸惑ったが、こういうものは身体で覚えるものなのか、程なくわりと自由に使いこなせるようになってきた。主に畔の草を刈るのだが、角度や位置がまちまちなので、けっこう応用力が求められる。

草刈り

夢中になって草を刈っていると、その日は新聞社の取材もあって、写真を取られたりした。汗だくになった頃に交代し、その他の作業を行い、やがて昼になったので休憩。

水道で顔を洗ってさっぱりし、昼食に用意していただいた弁当を食べながら交流する。一人ずつ自己紹介などするが、自分の番で名古屋から来たと言うと、どよめきがおこった。

午後も草刈りと作業を交代で行い、夕方に終了。身体は汗だくでへとへとになったが、気分はかなり爽快。草刈りは刈った結果が一目瞭然なので、たいへん達成感がある。

顔を洗って休んでいると、地元の方に声をかけられ、この集落に登録しないかと言っていただいた。正直なところ距離が遠いのでどうかと思っていたが、こういった活動に積極的だし、良い人が多くいたので、登録することにした。定期的に作業があるそうだが、来れる時でいいので来てほしいとのこと。

帰りも数時間かけて名古屋まで帰らないといけないので、途中にある日帰り温泉で汗を流し、200円のマッサージ器でコリをほぐし、一路高速で帰る。

これをきっかけに、この集落に通うことになったのだが、翌年に関西に転勤になり、だいぶ行きやすくなった。それから10年以上通っているが、いろいろな経験をさせていただいている。この辺はまた今度。