OSA日記

旅と食と健康とメンタルと

四国遍路 1_4

10月8日

4日目になった。
 
本日の予定は最後まで迷っていた。5日目は午後で切り上げて帰らなければならないのだが、宿や札所の位置の関係でなかなかいい案が出ず、頭を悩ませていた。 
結局難関の翌日だし、天気予報は今日から雨とのことなので、無理はするまいと、次の13番前の旅館を予約したのだった。 

S旅館を7:20出発。夜は雨が降ったみたいだが今のところ上がっているので、ザックカバーだけを装着する。今日は舗装路を歩き続けるだけだが、ずっと川に沿って歩く。道は舗装路で特に面白くもないが、吉野川をはじめとして四国は何処も川がきれいだ。特に名所でもないのだが、景色は見飽きることがない。 

1箇所だけ遍路道に入り低い峠を越える。このあたりから晴れ始め、日差しがきつくなってきた。川を沈下橋で渡ったところで一休みし、もう雨は降らないだろうと思ってザックカバーをしまう。
 

沈下橋



ところがしばらく歩くと急に空が暗くなり、雨がぱらついてきた。嫌味な天気に舌打ちしながら再びザックカバーを取り出すが、雨具をつけるほどでもないのでそのまま歩く。 

延々と歩くこと4時間あまり、もう少しで次の札所というあたりで道端に「おやすみなし亭」という遍路無料休憩所があったので一休みする。

遍路道にはよく休憩所があり、中にはここのように近所の人が飲み物やお菓子などを遍路に無料で提供してくれるところもある。お接待の国四国ならでは、とありがたくみかんなどをいただく。 

さて、このまま進むと昼には13番に着いてしまうことになる。今日の宿は13番のほぼ対面にあるのだが、いくら何でも12時やそこらに宿に入るわけにもいかない。歩く速度が意外と速いことに気づいたわけだが、歩きながら地図を見て策を練る。 

次の13番から17番までは札所間の距離が短く全部で8キロ弱である。午後から歩いてもそんなに時間はかからないと思われる。一方18番までは17番からだと徳島市内を歩いて18キロもあるが、13番からは少しく近い。ならば17番まで歩いた後タクシーか何かで13番まで戻れば明日は18番、うまくいけば19番までまわれる。

歩きにはこだわっているが、タクシーを使うにしても歩きが途切れることはない、と勝手に解釈する。 

我ながら名案だと思いながら予想通り13番大日寺に12:00頃到着した。初日にも同じ名前の寺があったが、八十八ヶ所には同じ名前の寺がいくつかあり、大日寺という寺もあと1ヶ所ある。

この大日寺は道路からいきなり山門があり、境内はあまり広くないが、入り口の石に彫られた寺号が金色の文字だったのが印象に残る。納経して休憩した後、荷物だけでも置かせてもらおうと、予約していたM旅館に入る。
 

13番大日寺



すると宿のおばあさんから「このまま17番まで行きゃあええ、電話したら迎えに行ったる」とのありがたいお言葉。渡りに船と思っていたら、同宿の女性も同じコースだというので一緒に行けばいいとも言う。 

よく分からないうちに同行者が出来た。女性はNさん、大阪から来た人で自分と同い年くらい。通し打ちとのことでうらやましい。同じ関西人ということもあってかとても話が合い、しゃべりながら歩いていると距離がとても近く感じる。ただ、逆に札所の印象や歩いている時の景色もあまり覚えていないので、同行者も良し悪しだと思う。

まもなく14番常楽寺に到着。珍しく山門はなく階段を登って境内に入る。ここは岩盤の上に寺があり、長い時間かけて水が岩を浸食した「流水岩の庭」が見事だった。読経と納経を済ませ早々に退出するが、イチイの巨木の俣にあったというあららぎ大師は見損ねてしまった。

14番からすぐの15番国分寺は、各国にひとつずつある寺で、当然ながら今回の阿波国分寺は四国で初めてとなる。この阿波国分寺は町中にあり寺自体は小さい。後で見たら庭園が有名らしいが、これもこの時は気づかなかった。

次の16番観音寺も距離は短く2キロ程度。歩きだしてもたちまち到着してしまう。ここも住宅地の中にいきなり札所があり、道端すぐの山門をくぐるといきなり本堂がある。狭い境内に人が溢れていた。

16番観音寺

少し距離がある17番井戸寺に着いたのは16時。少し広い感じだったが、山門の先に車が駐車してあり落ち着かない。このあたりは札所間が詰まっており、どこの寺にも人が多く騒がしいイメージだった。

いずれも読経、納経を繰り返すが、同行者がいる上バタバタとしていた印象であまり記憶が残っていない。

17番を打ち終えたあと宿に電話をかけて迎えに来てもらう。しばらくして来てもらったワゴン車に、高野山から来たという尼さんも加わり3人で乗り込む。ずっと歩いていたので車に乗るのは久々だが、エアコンは効いているし速いし、こんなに快適だったのかと思う。

宿に着いて風呂で汗を流していると、同宿のおじさんが入ってきたので何となく話をする。この方なんと遍路は140回だそうだ(3回目からは脚を大怪我したので車だそうだが)。

毎回納めるお札は5回までの人は白で、回数によって色が変わる。50回を超えると金でこれもなかなかお目にかかれないが、更に100回を越えると紙ではなく錦の布になりそんな人いるのかと思っていたら、遍路初回にしていきなりそんな人がいたので驚いた。食事の時に渡してくれるということで、実際にいただいたが、紙ではなく布でできていて、なかなか立派なものだ。 

食事ではB夫妻やCさんも同宿。Nさんや140回の人、学生っぽい人など今日も楽しい夕食だった。学生さんは一国参りで23番までとのことで、その他の人はみんな通し打ち。明日で帰らなければならないのは残念でならない。 

今日も就寝は9時頃。本日の総歩行距離は24キロくらいだった。