OSA日記

旅と食と健康とメンタルと

四国遍路 4_3

5月1日

3日目。やはり6:00起床。相変わらず脚は快調だ。

6:30になって、前日言われていたように下の喫茶店に行く。昨日とは別のおばさんがいて、朝食を出してくれる。朝からもご飯はてんこ盛りで、またもや「お代わりは?」と聞かれるが、やはり食えたものではない。

食べ終わり、その場で宿代を払うと、「鍵はそのまま部屋に置いて、いつでも出て行ってね」と、最後まであっぱれな放置振りだった。

準備をして7:30出発。
しばらく町中を歩き、やがて田園地帯に出てくる。ママチャリを押しながらの若いお遍路さんに追いつかれ、しばらく話しながら同行。追い越して行った後も平地にもかかわらずチャリは押したままで、何で自転車持っているのかと思ったが、この疑問は後で解決する。

物部川を渡ると細い遍路道に入り、地図を見るとややこしそうだが案内のおかげで迷わず進める。

様々な道標

今日も晴天で、人も車もほとんど通らない朝の田園地帯を歩くのはとても快適だ。小さい集落を通っていると、通りがかりのおじさんにすぐそこに新しい遍路小屋ができていると教えてもらい、寄ってみる。遍路地図にも載っていない小屋で、昨年できたばかりだそうでぴかぴかだ。元々朽ちた大師堂があったところで、修復をかねて作ったらしい。せっかくなのでゆっくり休憩する。

真新しい遍路小屋

さらに進んで行くとまたまた遍路小屋があり、そこに先ほどのママチャリの人がいた。しばらくするとまた追いつかれ、食べませんかと文旦を半分いただく。遍路小屋に泊まったとのことで、自転車は近所のおじさんに貸してあげると勧められて、断りきれなかったらしい。

私同様歩くのにこだわっているようで、おじさんの姿が見えなくなるまで乗るふりをしていたそうな。気持ちは良くわかる。

やがて国分川を渡り、29番国分寺に到着。久々に平地にある寺で、木々にかこまれて気持ちのよいところだ。歩き遍路が何人かいるが、ここも団体がいなくてのんびりできる。近所のおばさんだろうか、楽しそうに話をしながら境内を掃除している。

29番国分寺

納経と休憩を済ませて出発。相変わらず田んぼのど真ん中を進んで行き、国道を越えると国分川に沿って進む。やがて道は次第に山に入って行く。地図では標高がよく分からないが、この先で逢坂峠を越えるのでやはり坂道になるのだろう。

田んぼの中のへんろ道

疲れてきたころにもうひとつ遍路小屋を見つけて休憩。くつろいでいると歩きのおじさんがやってきたのでしばらく話をする。65歳だそうだが随分大荷物で、野宿しながら通しで歩いているとのこと。

パワフルな人だと思っていたら、普段は本格的な登山をされている人ということで納得する。ただし遍路はマメができて困るとのことで、これはこちらが先達だからマメ用の絆創膏を差し上げる。この絆創膏は買ったものの一度も使ったことがなく、人にあげるばかりだ。

出発し交通量の多い県道に合流してすぐに峠を越える。高知の町並みが望める中、階段を下りて町中をしばらく歩くと、やがて30番善楽寺に到着。ここも平地だが山門がなくいきなり本堂があるのでとまどう。

ここは高知市内にある安楽寺といろいろな経緯があって札所を二分していたらしく、10年ほど前にようやく解決したという「遍路迷わせの30番」の寺だったらしい。ここは団体こそいないもののやたら人が多く、落ち着かないので納経を済ませると早々に出発。

町を抜けると交通量の激しい道に沿って進み、やがてうどん屋を見つけたので入る。今回は昼食に恵まれるものだと思いながら、釜玉うどんとコロッケを食するが、この60円のコロッケが大変に美味だった。

さて、今日と明日の行程は宿泊地をどこにするかで非常に悩まされた。次の31番と32番の間に宿があれば問題なかったのだが、その手前か行き過ぎたところにしかなく、どちらに泊まっても前後のバランスが非常に悪い。

悩んだあげく今回は31番手前のビジネスホテルを予約してあるが、予想したとおりかなり早い時間に到着しそうだ。歩きながら地図を見て策を考え、今日はホテルに荷物を置いて31番を打って来ようと思う。

明日直接32番に行けると結構近道で済むのでバランスが取れる・・・と考えて地図を見ていると、困ったことに気づいた。地図そのものを持ってくると重いので軽量化のために必要なところだけをコピーしてきたのだが、明後日の分が抜け落ちているのである。確かにコピーしたはずなので紛失したらしい。

大雑把な地図もあるし案内もあるので行けないことはないけど困ったな、と考えているうちに宿泊地のビジネスホテルTに到着。まだ14時である。ビジネスホテルとは言っても遍路も泊まるので、休憩所もある。

フロントでチェックイン時にこれから31番を打ってくる旨伝えると、快くザックを預かってくれ、部屋に運んでおいてくれるとのこと。ついでに遍路地図はないかと尋ねると、あるにはあったがかなり古いもので、これでも無いよりはいいとコピーしてもらう。冷たいお茶と飴をいただいた後、身軽になって出発。

ホテルから31番まで往復する人はけっこういるらしく、道順を書いた地図を貰った。田んぼの中を一直線に札所のある五台山麓まで突き進んで行く。

民家の間の分かりにくいところも迷わずクリアし、細い階段を登って行く。これが意外ときつく、階段が終わっても結構な登りが続く。本来明日一番で行く予定だったのだが、明日の行程は結構きついので今日にしておいて良かった。

息を切らして上り詰めると、いきなり県立植物園のまっただ中に出る。高知県の誇る植物学者、牧野富太郎先生の名を冠した牧野植物園である。

遍路道は植物園を突っ切っているが、歴史は遍路道のほうが古いため、歩き遍路は暗黙の了解で無料で通れるらしい。一般の観光客の間を通って出口を出ると、すぐに31番竹林寺の門前だ。ここまで約1時間。

けっこうきつい石段を登って境内に入り読経と納経。植物園もあってか観光客が多いが、木々に囲まれた五重塔は美しかった。

31番竹林寺

疲れてしまったので帰りはタクシーにしようかと不埒な考えもよぎったが考え直し、もう一度植物園に入り同じ道を引き返す。打ち戻すのは神峯寺に続いて2度目。先ほどの急な階段を下っていると、周りが全て梅の木なのに初めて気づいた。

ホテルに着いたのは16時過ぎで、ホテル内には居酒屋しかなく、一人で入っても寂しいので、食事は道向かいの食堂まで行って食べることにする。ビジネスホテルはコインランドリーもあり、久々のベッドで快適だったが、風呂だけはユニットバスで、一応湯船には浸かったが窮屈この上なく、これだけは今ひとつだった。

今日のコースは迷いやすいと書いてあり、ホームページなどでもよく道を間違えた話が載っていたが、まったく問題なくスムーズに来ることができてよかった。21時に就寝。

本日の歩行距離は26キロ、40,600歩だった。