OSA日記

旅と食と健康とメンタルと

四国遍路 6_3

5月1日

3日目。
今日も6時起床、6時30分朝食。朝食も別館で、同宿の人たちと談笑しながら食べる。7時過ぎに宿を出発。女将さんが握手して見送ってくれる。いつもながらの暖かさは遍路宿ならではだ。

岩松の町中を歩いて行き、川を渡って国道へ。相変わらず朝から交通量が多いが、しばらく行くと松尾トンネルがある。そのままトンネルを抜けてもいいのだが、遍路道は忠実に山を越えていくので、当然そちらに歩を進める。

岩松の饅頭屋

遍路道は最高地点でも220mなのでなめてかかっていたが、なかなかどうして、いっかな峠に着かない。いつもそうだが、我ながら「見積もりの甘さ」を痛感する。たかが○○m、と思って何度痛い目に遭っただろう・・・

とは言いながら、遅い歩みでも進んでいるとゴールは近づくわけで、休憩所のある峠に到着。立派な遍路小屋があり、ここのベンチは車の座席をそのまま置いていて座り心地が良さそうだったが、まだ歩きだしてすぐなので横目に見ながら通過。

車のシートを使ったへんろ小屋

下りも結構長く時間をかけて麓まで降りていくと、いきなり採石場のど真ん中に出た。今までにも遍路道は植物園や焼却場、高速道路の工事現場など様々な所を突っ切ってきたが、やはり歴史が古いためかこちらの方が優遇されているようだ。もっとも今日は休日のためか人っ子一人いなかった。

もう一度遍路道を通った後、ふたたび国道に出る。このあたりからは宇和島の圏内で、高速道路の入り口を過ぎると宇和島の市街地に入っていく。国道を歩いていると妙に疲れてしまい休憩したいが、峠の休憩所以来休めるところがない。腰を下ろせるところでも・・・と思いながら歩いていくが、それに気を取られていて道を誤ってしまった。川沿いに進むはずが川に直交してしまい、進む方向を90度間違っていることに唖然とする。

疲れもあっていらいらしてきたが、ふと、すれ違いざまに一人のおばあさんが私の方に手を合わせて拝んでくれるのを見てはっとする。町中では挨拶する人も少ないが、こんな信心深い人もいるものだ。

気持ちを切り替え、あまり使いたくはないが携帯電話のナビを使って現在位置を把握し、ようやく目印の勧進橋まで復帰、その先の道沿いにある桜町児童遊園という公園に入り、藤棚下のベンチで休憩。公園にいた近所のおじさんと世間話したあと出発。

藤のきれいな公園

丘の上に宇和島城が望め、丘を回り込んで宇和島市街を歩いていくと、別格第6番の龍光院に到着。せっかく通り道にあるので、長い石段を登って寄っていくことにする。参拝した後境内でのんびりするが、高台にあるだけに展望がよく、宇和島の市街や城がよく見える。

別格龍光院への階段

道に戻りJR宇和島駅を眺めながら線路を渡りひたすら進む。今回のコースで一番大きな町なので、何か昼飯にありつけるかと思ったが、遍路道沿いには何もないまま市街地を通り過ぎようとしている。少し脇に入れば何なとあるのだろうが、遍路道に忠実に進むと得てしてこういうことになる。仕方なく目にとまったスーパーに入り海苔巻きや総菜を購入。休むところもないのでしばらく歩いてJR北宇和島駅を目指す。

駅舎があればベンチもあるもので、ようやく腰を下ろすことができる。海苔巻きと総菜を食べゆっくり休憩するが、先ほどからどうも足の裏に違和感がある。靴下を脱いでみると両足裏の親指の付け根が赤くなっている。これはマメの前兆で、あまりよろしくない状態だ。

ここまでマメには縁がなかったが、靴を新調してからこういう風になりやすくなったような気がする。同じモントレイルの靴で、前回の「Continental Divide」が製造中止になり、仕方なく「Wildwood」というモデルにしたのだが、こちらは今ひとつ足に合わないようだ。ボルダースポーツという足に塗るクリームでケアをして出発したが、一歩ごとに圧力を感じてあまりよろしくない。

道はここからもアスファルトが続くが、地図の標高表記を見るとだらだらとした上り坂のようだ。午後の日差しが強い中ダラダラ上るアスファルト道を歩くというのは最悪のシチュエーションで、きついのを覚悟し県道57号線を歩いていく。ところが不思議なもので、覚悟してしまうとそれほどきつく感じることもなく歩いていける。

なんとなく調子よく歩いていると、折りたたみ自転車に荷物を満載したおばさんの遍路がゆっくりと追い抜いていった。この坂を自転車では大変だなと思ったが、この姿に記憶がある。

やがて到着した遍路小屋にくだんのおばさんが休憩していたので、こちらも腰を下ろしながら挨拶。話をしているとやっぱり高知の清滝寺あたりで会った人だということが判明、なんという偶然だろうか。程なく前回お会いすることがなかったご主人も到着、ご主人が歩いて奥さんが自転車で回られているのは前回同様で、今までの苦労話などを聞く。

遍路が集うへんろ小屋

挨拶をして先に出発し、やがて道は三間(みま)へと入っていく。広々とした田園地帯の中一直線に田んぼを突っ切る道を歩いていくと、自転車の小さな子供が元気よく挨拶してくれ、車で追い越しざまに中学生くらいの女の子たちが「がんばってー」と声をかけてくれる。すっかり足取りも軽くなり、14:30、41番龍光寺に到着。

この寺はなぜか山門のかわりに石の鳥居がある。これは明治時代の神仏分離政策以前の形態を今に残しているとのことで、寺の中に赤い鳥居の稲荷神社もある。納経後ゆっくりするが、道ではばらけている遍路も札所では一緒になり、顔見知りも多い。

寺なのに鳥居

15時に出発。ここからは歩き遍路道が近道だったのだが入りそこね、仕方なく車道を歩く。1キロ長くなるしせっかくの遍路道を、とがっかりしたが仕方がない。次の札所までは約3キロ、40分ほどで42番仏木寺に到着した。

1日に2つ打てるなんて何日ぶりだろう。考えてみると36番の青龍寺を出て以来である。41番でも会ったM旅館で同じだった夫婦と境内ですれ違い、あちらはさらにもうひとつの峠を越すそうで大変だ。こちらはこの近くに宿をとっているので、納経を済ませたあと境内でゆっくりくつろぐ。

16時を過ぎて札所を出発。本日の宿のT屋は10分程度で到着してしまった。ここは田んぼの中の宿で、建物もきれいで気持ちが良い。風呂、洗濯、夕食のゴールデンコースを堪能するが、今日も何となく酒は控えようという気になった。

本日の歩行は53600歩、約30キロ。連日5万歩を越えていて足にくるわけだ。
足の裏は赤いままで、明日が心配だが・・・