OSA日記

旅と食と健康とメンタルと

蕎麦

10年以上になる農業ボランティアだが、この地区で作っているのは蕎麦。

基本的に作業のほとんどは草刈りで、毎年初夏や真夏に何度か訪問して、1日中草刈りをしている。暑い時期は雑草の成長は驚異的で、ちょっと日を空けるとたちまち伸びてきて、あっという間にジャングルになる。

朝から夕方まで草刈りをするが、夕方には汗だくになって終わる。それでも刈りきれないところもあり、地区の人だけでは体力的にかなり厳しいだろう。

夏には蕎麦の種を蒔く。蕎麦の種は他の作物のように綺麗に蒔いたりせず、かなり大雑把。トラクターに種まき用のアタッチメントを付け、肥料と共に蒔いていくが、蒔ききれないところは、手づかみでばらまいたりする。

成長は早く、秋に近づくと白い綺麗な花が咲くのだが・・・

蕎麦の花

ご多分に漏れず田舎は獣害がひどく、とくにこの地域は鹿の被害が多い。だいたいの作物は何もしないと食べ尽くされてしまうので、電柵の設置とメンテナンスも重要な仕事。

棒を立てていき、そこに5段くらいにわたって電熱線を設置していくが、あまり広くない地域とはいえ、相当な距離になるため、この作業だけでも数日かかる。草刈りもそうだが、ボランティアは夕方になると帰るが、地元の方はそのまま暗くなるまで作業を続け、場合によっては別の日までかかる。

そんなにして苦労して張った電柵も、ちょっと倒されたらそこから鹿が侵入し、その畑は全滅。毎年無事に済まない畑が多い。
昨年、ようやく市から補助が下り、金属柵を張り巡らすことができ、この作業もたいへん苦労したが完成、今年から害が減ることを期待したい。

こんなふうに、農業は作業が絶えない。人口も減り高齢化すると、地域が維持できなくなるのは身をもって理解できる。

苦労した末に、秋になると蕎麦が収穫でき、毎年みんな集まって蕎麦打ち大会が開催される(コロナになって自粛せざるを得なかったが、今年は少人数で再開)。公民館にビニールシートを敷いて、その上で蕎麦をこね、切り、外に設置された大釜で茹でる。素人が打ったり切ったりするので、時にはうどんのような太い蕎麦になったりするが、やはり多少でも自分の手がかかっている蕎麦はとてもおいしい。

打った蕎麦

皆さんで談笑しながら蕎麦を食べ、酒を飲むのはなかなか楽しいひと時で、こういう経験ができるのは貴重だと思う。10年以上やっていると、蕎麦打ちも多少上達していく。

作業ばかりでも、ということで、別の楽しみもある。
椎茸栽培、味噌作り、米作りなどを行っていて、去年から様々な種類の果樹栽培も始めた。

農作業は体力的にはしんどいが、終わったときの爽快感はなかなか味わえないことだと思う。