OSA日記

旅と食と健康とメンタルと

四国遍路 9_1

某年4月29日

1日目

とうとう今回で最後の遍路旅となる。
例年のようにGWが近づくにつれて計画を立て、宿や交通の予約をとったりする。今年は中間の平日に休みを取って日程に余裕があるため、日曜日から出発することとし、土曜日は準備や体調調整をすることにした。このおかげかどうかは別として旅中の体調はすこぶる良かったが、反面土曜日は晴天だったので、晴れの日を一つ逃したなという気持ちもあった。

日曜日は5時前起き。準備して6時前の電車に乗り新大阪へ。岡山から瀬戸大橋線に乗るのは前回同様だが、今回は讃岐なので快速マリンライナーになる。これは混雑が予想されるので先頭車にある指定席をとっていたが、200円の指定料金で快適に移動できる。晴天の中瀬戸大橋を渡り四国へ上陸。坂出で普通に乗り換え、8:50前回終了地点の国分駅に到着。

半年ぶりの見覚えのある風景の中で準備し、朝食替わりのおにぎりを食べて出発。既に2人の歩き遍路を見かけた。歩きだしてほどなく、前回打ち終えた80番国分寺に到着。一礼してから通過し、まもなく左折して目の前に立ちはだかる五色台へと向かう。

立ちはだかる五色台

初日は今ひとつ体が慣れてなく必要以上に疲れるので、最初から難所があるのは気が重い。田園の間を抜け墓の横から遍路道に入ると、しばらくは緩やかな傾斜が続く。道はこの先県道の合流点の一本松まで上っていくが、標高は400m弱。これくらいの高さはたいしたことないように思うのだが、今までの経験から油断はできない。果たして一本松まであと600mというところ辺りから強烈な階段の連続となる。このように最初油断させておいて急に辛くなるというところが讃岐には多いような気がする、とノートに書いてある。かなり辛かったのは事実で、つい悪態もついてしまうのだろう。それでも高度を上げると眼下には先ほど通過した国分周辺が望めて気持ちが良い。

悪態をつきながら上る

汗だくになりながら、ようやく一本松に合流。遍路道は県道を横切って続くが、この道を通ると次の82番へ行くときにかなり長い打ち戻しがある。できるだけ同じ道は歩きたくないので、県道を歩くことにする。この道は五色台にある自衛隊演習場の外縁に沿って進むので、延々と鉄条網つきの柵の横を歩く。当然途中にはいくつも立ち入り禁止の看板があるのだが、しばらく行くと堂々と敷地内に入っている人たちがいる。とても関係者とは思えない年配の人たちはどうもワラビか何か山菜採りをしているようだ。しかしどうやって入ったのだろうかと思って引き続き歩くと、遍路道は県道から逸れて柵に沿ったえらく細い道へと入っていく。

ほどなく柵がなくなり、どうもこの道も自衛隊の敷地内に入ったようだ。遍路道の道しるべもあるのでそのまま歩いていくが、沿道にはお地蔵さんや丁石などもある。これまで植物園や工事現場などいろいろな施設の中を通ってきたが、まさか自衛隊の敷地内まで歩くことになるとは思わなかった。さすがに歴史ある道だ。面白い道を歩くことができたので、あえて県道を通ることにしてよかった。上空を自衛隊のヘリが編隊を組んで飛んでいく。
やがてゲートの端を外側に出て県道に戻る。そこからすぐ遍路道に別れ少し下ると分岐点があるが、これから行く81番を打つと、またここまで戻ってくることになる。

自衛隊の敷地から外へ出る

林の中の道を下って行き摩尼輪塔を過ぎると、81番白峯寺に到着。時刻は10:50。
連休だけあって人はそれなりに多いが、団体がいないので助かる。ゆっくりと半年ぶりの参拝をし、納経していただく。納経するといつも御姿の紙を一緒にいただくのだが、さらに小さい紙片を受け取る。小さい色紙には梵字が書いてあるが、何か新しく始まったのだろうか。(後で集まったのを並べてみると「おんあぼきゃべいろしゃなう・・・」と光明真言になった。讃岐ならではのサービスらしいが、途中からしかもらっていない)

ベンチで休憩し、あんぱんなどをほおばる。敷地内には前回にも出てきた崇徳上皇の廟所があり若干興味があるが、基本的に遍路中はあまり観光しない方針なのでそのまま出立。

再び同じ道を登り返し、分岐点からはしばらく平坦で歩きやすい道が続く。大変気持ちの良い道だが、わりと人とすれ違う。皆軽装だし遍路姿でもないので、トレッキングコースにでもなっているのかもしれない。

しばらく歩いて十九丁で国分寺からの道に合流。結構な距離があったので、やはり県道にしておいて正解だった。
ここからかなり上りとなる。一本松まででもかなりな上りだったので五色台の上に出たと油断していたが、地図を見ると440mまで標高を上げることになっている。白峯寺が280mなのでなかなかの標高差である。五色台の上は平坦な台地状だと思い込んでいたので、当てが外れてもう一度汗だくになりようやく県道に出る。

しばらく歩いてみかん園の横から再び遍路道に入って下って行くと、82番根来寺に到着。時刻は12:45。
ここは山門をくぐってからも石段で下ったり上ったりするので油断できない。本堂は回廊を通って入っていくが、その横にはびっしりと小さい観音像が並べてあり見応えがある。やはり人は多いが団体はいない。歩き遍路もちらほらいるようだ。

最後のおにぎりを食べて出発。先ほどのみかん園まで戻り、車道を歩いていく。しばらく行くと八重桜が沢山咲いていて、その向こうに瀬戸内海の島々が見える。とても美しいコントラストに、足を止めてしばらく見入る。景色は少し霞んでいるのが少し残念だったが。

八重桜と瀬戸内海

道は次第に下っていく。五色台を降りて平地になるから当然だが、途中からこれまた強烈な下り坂の遍路道になる。最後の下りは延々と続く急勾配のコンクリート道で、膝にくることてきめん。脚をかばうため時間かけてでもジグを切って下りていく。途中で植木の畑を見かけるようになると鬼無の街に入る。鬼無はわが地元と同じく植木や盆栽が有名で、日本でも有数のところだそうだ。街中には植木屋があふれ、よくわからないながらも見ごたえのある松の盆栽が並べてある。

予讃線の線路を越えると町に入る。しばらく行くと綺麗な建物でお遍路さん休憩所とあったので、ちょうどいいところにあったと喜んで入ろうとするが、鍵がかかっている。がっかりして前のベンチで腰を下ろすことにする。すぐ近くの神社では祭りをやっているらしく、人が多い。

英語の道標

鬼無からは町を斜めに進んでいくので、道はあみだくじのように右に左に曲がっていく。分岐ばかりなので地図と道しるべが便りで油断できない。途中でコースは二手に別れ、距離が短い川沿いの道と昔ながらの遍路道がある。短い方がいいが、ずっと川沿いだと景色が変わらず面白くないだろうと思い、旧遍路道を歩くことにする。こちらも景色は代わり映えしないが、道しるべを探しながら道を辿っていくと割と退屈しないものだ。

これも遍路道

川を渡り高速道路をくぐり、延々と歩くこと数キロ、83番一宮寺に到着。16:30。納経は17時までなのでどうかと思ったが、82番を出る辺りから距離と時間でだいたいの当たりをつけていたのとピッタリだった。一宮寺はこぢんまりしていて私の好きな雰囲気の札所だ。いつもこれくらいの時間だと人はあまりいないのだが、今日は結構いる。

今日の宿はここからすぐ近くなのでゆっくり出発。明日の朝食がないので、手前のコンビニでサンドイッチ等を仕入れる。道を渡ると今日の宿「天然温泉K」に到着。ここはその名の通り日帰り温泉なのだが、宿泊施設もある。一宮寺周辺には他になかったのでここにしたが、結構いいところだった。温泉のフロントに行くと、「宿泊券」を自販機で購入せよと言う。確かに入浴券やタオル等と一緒に「宿泊券4、900円也」があって面白い。

宿は一旦温泉を出て駐車場を横切り、離れたところにあるマンションのような建物。当然宿泊に温泉がついているので入れるのだが、聞くと浴衣のまま駐車場を横切るのは全然問題ありません、皆さんそうしていますとのこと。以前の民宿喫茶で浴衣のまま車道を歩く羽目になったことを思い出した。

部屋は4階建ての4階。エレベーターもなく息を切らして階段を上る。何度も階段を上がりたくないので用事は1回ですまそうと思う。中はワンルームマンションみたいで電気コンロに机と椅子までついている。ユニットバスや独立したトイレにはウォシュレット、壁に折りたたみのベッドがあり寝心地もよさそう。

部屋からの景色。あそこまで浴衣で行く

早速浴衣に着替え、1階のコインランドリーに洗濯物を入れ、駐車場を横切って温泉へ。やはり温泉は気持ちが良い。ジェットバスや露天風呂を散々堪能し、併設している食堂で食事して部屋に戻る。

本日の歩行は43、000歩、25キロ。
やはり初日は体が慣れていないので疲れる。9時頃には布団に入った。