OSA日記

旅と食と健康とメンタルと

四国遍路 7_4

5月3日

 

4日目

私と同じようにJRで戻ってきた遍路は結構いたみたいで、当初この旅館の朝食は7時だったが、それでは北条発7:12の電車に間に合わないということで、6時半になった。本数が少ないので、この電車を逃すと次は8時前になってしまう。朝食もお釜でご飯が出てきて美味だった。

7時前に宿を出発、電車で菊間まで移動してそこから出発。天気はあまりよろしくなく、今日の予報は降水確率50%。空はどんよりと低い。

電車で移動

時々旧道には入るが、基本は国道に沿って北上していく。当然ながらいつも午前中は体力があって身体の調子もいいのだが、今日は特に快調で自分でも平均速度が速いのが分かる。脚の調子もすこぶる良い。

伊予大西を過ぎJRから離れると、やがて54番延命寺に到着。ここまで15キロくらいの距離を2時間半で着いたので、やはり速い。延命寺はとても雰囲気のいい寺で、納経所のおばさんも愛想がいい。ここには屋根付きの休憩所もあるので、雨が降っても大丈夫だろう。まだ天気はもっているが。

延命寺の休憩所

早く着いたが、調子のいいときに距離を稼ごうと、納経を済ませると早々に出立。遍路道は裏手の小高い丘を越えて集落に降りていく。

札所にいるときから太鼓のようなにぎやかな音が断続的に聞こえていたのだが、それがだんだん大きくなる。果たしてお祭りをやっていて、組体操のようなものや獅子舞が出ていて、人が集まっている。歩いていて何度か祭りに出会ったが、こういうこぢんまりした地元の祭りの雰囲気は悪くない。ただ、雰囲気が良いのはいいが、遍路道のど真ん中で祭りをやっているものだから、なかなか先に進めない。祭りを楽しみつつ、頃合いを計って人混みを抜け先に進む。

地元のお祭り

道は広大な霊園の中を通り、いきなり今治の町中に入る。次の札所は町のど真ん中にあるのだ。昼前に55番南光坊に到着。札所はほとんどが「○○寺」なのだが、2カ所だけそうでないところがあり、55番はそのうちの一つ。立派な山門には仁王像ではなく四天王(持国天増長天広目天多聞天)がまつられている。

ところが、立派な山門と本堂の間が駐車場というよく分からない作りで、山門をくぐったら駐車場の中を通り、道を渡って本堂に行かなければならない。88カ所もあれば札所の造りもいろいろだ。読経と納経を行う。納経所の人は愛想がよく、少しお話をする。

さて、昼である。今治は愛媛第2の町だし、駅前を通るし、間違いなく今日だけはまともな昼食にありつけると期待していた。ところが!今治駅は立派な高架駅なのだが、駅前には本当に何もない。駅前からいきなり住宅地と学校があるくらいで、こんな駅前見たことがない。道はどんどん細くなり、打ちひしがれながら歩いていく。やがて国道を渡るので、せめて国道沿いに何かないかと願ったが、あったのはコンビニだけで、自嘲気味におにぎりなどを購入する。

ここからはすぐに56番泰山寺に到着。ここにも屋根のついた休憩所があり、ベンチに腰を下ろして先程買ったおにぎりなを食べる。

今回の札所は石手寺以外どこもこぢんまりしていて雰囲気が好ましいところばかりだ。この寺も山門もなく、どこにでもあるような寺である。休憩しているととうとう雨が落ちてきたが、まだまだ小降りなので菅笠にカバーをかぶせただけで出発。

先を急ぐところだが、このすぐ裏に56番の奥の院龍泉寺があるので寄ってみる。ますますこぢんまりとした寺の横には「日本一小さい喫茶店」と書いたプレハブが建っていて、寺の境内にもテーブルと椅子がある。是非コーヒーでも飲んでいきたかったが、店主が3時にならないと戻らない、と貼り紙がしてあったので諦める。

日本一小さい喫茶店

少しずつ雨脚は強くなってきたが、雨具を出すほどではないのでそのまま歩いていく。やがて川に出て川沿いに歩いていくが、むかし旅人が川を渡った跡が残っていて、今でも渇水期に川を渡る遍路がいるそうだ。

橋を渡りしばらくすると遍路道に入り、やがて57番栄福寺に到着。ここはさらにこぢんまりしている上に工事をしていてひときわ狭く感じる。ただ、工事のおかげで納経所前にテントが貼られていて、ここでも屋根付きで休憩することが出来る。ここでも先達がいたので、立ち去るのを待って読経と納経。テントにあたる雨音が強くなったように感じたのでザックカバーを装着したが、外に出てみるとそれほどでもなかった。

栄福寺への道標

しばらく歩くと犬塚池という池があり、その畔から雰囲気のいい遍路道に入る。歩きやすく石仏も多く、とてもいい道だ。山や町を問わず遍路道を歩いていると当然だが石仏が多く、私は極力拝んでいくようにしていく。拝むと言っても目を閉じて手を合わせるだけだが、それだけで少しだけ身体が軽くなるような気がする。人目の多い町中ではそちらを向いて歩きながら拝むようにしているが、この道はやたら石仏があり、少々手間取ってしまった。

石仏の多い遍路道

本日の宿は久々の宿坊で、この先の57番札所になる。今日はここまで平坦な道だったが、この57番はかなり高台にあると聞いているので、覚悟を決めて歩いていく。

道はやがて車道に出るが、これがツヅラ折れの急坂で、息を切らせて登っていく。かなり登ったところに立派な山門がありこれが入り口だが、ここからの遍路道がかなり厳しい石段の連続となる。歯長峠のように坂が急でも距離が短ければ、と勇んで登っていくが、なかなか道は長くいつまで経っても石段が続く。息が続かず時々立ち止まって息を整えなければならないくらいだ。

仙遊寺へのきつい上り

途中には弘法大師が湧かせたというお加持水というのがあり、柄杓ですくっていただくが、疲れたていたというのもあってか甚だ美味。ここからはもう一踏ん張りで、ようやく57番仙遊寺に到着。裏口から入ったような感じだったが、今日はここに泊まるので降りなくていいという安堵感がある。納経を済ませると、雰囲気のいい庭から宿坊に入る。

宿坊はやはり一般の宿とは雰囲気が違うが、私は離れということで一旦外に出る。後から考えると離れと言うより一般住居の片隅のような感じで、洗面所には冷蔵庫や雑多なものがあり、「おばあさんと会うかもしれません」と言われたので寺の関係者が住んでいたのかもしれない。

それでも風呂は温泉で、しかも登ってきた甲斐あって展望はすばらしいし、夕食の精進料理は大変美味で珍しいものも多かったし、何より宿の人たちがとても親切で気持ちよい人ばかりで、宿坊はいいとつくづく思った。ただし、離れに出入りする度に、檻に入った巨大なシェパードに吠えられるのだけはいただけないが。

本日の歩行は42,000歩、26.0キロ。
結局宿に入ってから雨は本降りになったので、雨具は使わずに済んだ。まだまだツキはある。