OSA日記

旅と食と健康とメンタルと

四国遍路 9_2

4月30日

2日目

ここはいい宿だが遍路宿ではないからか、夜遅くまでどこかの部屋で騒いでいて、どたんばたんやっていてなかなか寝付けない。おまけに前の道に暴走族まで来る始末。結局何時に寝付けたかわからないが、とにかく5時30分起床。若干朦朧としながら昨日買ったサンドイッチで朝食とし、6時30分チェックアウト。こんな時間にも朝風呂に入りに来た人が結構いる。

今日は予報では雨になっている。つい先日の予報ではGWは前半晴れるとか言っていたがまたしても大外れ。直近でも曇になっていたが、昨日見ると雨続き。悪いなら最初から悪いと言って欲しい。まあ今のところまだ降っていないので、笠とザックにカバーをかぶせて出発。

鬼無からの道と同様、斜めに進んでいくので今日も曲がり角だらけ。昨日から今日にかけての行程を地図で見ると一宮寺はVの字の先端にいるような感じである。道はどこを通っても行けそうで、遍路道保存協会の地図ではまっすぐ北上するようになっているが、高松の街中は通りたくないので、別の遍路地図に従って斜めに行く。道しるべもこちらのコースを指している。

遠くに台形をした特徴ある屋島の山並みが見える。まずはそこを目指して歩くが、とにかく道しるべを見落とさないように歩く。松山などと同じような大都市近郊の街中の道はあまり楽しくないので、雨が降り出すまでにと休憩もせずひたすら歩く。頑張って歩くと次第に屋島の山容が大きくなり、欄干に那須与一の像が作られている橋を渡り、2時間半くらいで麓付近に到着。遍照院という小さな寺があったのでそこで腰を下ろす。ここまで距離にして12キロくらいだからまあまあ頑張った方だ。

那須与一の像と特徴的な屋島

小休止してから出発。まだ街中だがここからかなりな上りとなる。標識には「のぼり21%」とあり、車道でこんな急な道にはお目にかかったことがない。車道が終わってからもコンクリートの上りが延々と続く。同じ上りでも土の道ならともかく、コンクリートでは疲れるだけだ。しかも上り一辺倒で1mたりともフラットなところがないので息もつけない。

21%の上り

ただ、この道はやたら地元と思しき人たちが行き交っているので、これまたトレッキングコースなのかもしれない。とにかく頑張って休憩もせずに上って行く。途中食わずの梨というのがあって、大師が農夫に梨の実を所望したところ「これは食べられない梨だ」と断られると本当に固くて食べられない梨になってしまったというところの遺構だとか。相変わらず弘法大師の対応は極端な気がする。

眼下に景色が広がり出した頃、ようやく84番屋島寺に到着。時刻は9:45。到着とほぼ同時に雨が降ってきた。がんばった甲斐があったと思いながら山門をくぐり、屋根のあるベンチに荷物を置いて参拝・納経。ベンチで休んでいると、忘れた杖を取りに来たという年配の女性と、後から来た年配の男性の遍路がやって来た。屋根の付いているところが少ないのでこうなるが、それとなく話し出す。屋島寺からの下りは強烈で、時々足を滑らせて怪我をする人がいると知っていたが、特に今日のような雨の日か危険がとかで、寺の人に聞いても今日は正規のコースは危険だとか。確かに足を滑らせて痛めたりしたら目も当てられないので、若干遠回りになるが来た道を引き返すことにする。

女性はもう4回目とのこと。カナダ在住で年に2回くらい遍路に来るとか。男性は私同様区切り打ちで、もう7年目になるがなかなか終わらないらしい。しばらく話したあと2人が出ていくのを見送ってから、雨具のポンチョを羽織りゆっくり下ることにする。雨は降っているが木立のおかげで意外と濡れない。多少緩やかとはいえ急坂には違いないので注意深く下っていく。下っていってもしんどい道なので上りはなおさらだろう。車道に入るとさらに道がきつくなり膝がきつい。ようやく先ほどの遍照院まで下ってくる。もう少し下った池のところで道が左へ分岐し、屋島の南縁に沿って東進する。

山を下ると雨が小降りになったのでポンチョを脱いで手に持ち、左手に屋島を眺めながら進んでいく。やがて川に沿って進み、その川を渡ったところでシルバーの上着を来たおじさんに招かれる。この先に休憩所があると言う。そこには先ほどの女性と男性がいたので、椅子に座ってシルバーの方も交えて話をする。お茶やお茶菓子を出してくれたのでつい長話となってしまう。

随分ゆっくりした後出発。二人とも坂道は弱いとのことで、すぐに私一人が先行することになった。
行く手には今度は五剣山の険しい山容があり、そこに向かう。五つの峰があるのでこの名前がついた山の中腹に次の札所がある。山にはケーブルカーもあるので急坂であるとは覚悟していたが、果たしてケーブル乗り場の横から上がっていく道は屋島寺に劣らぬ急坂で、やはりこちらもコンクリート。そして同じくフラットなところなし。うんざりしながら上っていく。

コンクリートの急坂はうんざり

どうも讃岐に入ってから天候には恵まれないし、坂はコンクリートばかりだし、そんな山道以外は面白くもない町中の道だし、道行く人はあまり挨拶してくれないし、と讃岐はあまり楽しくない。私だけの個人的な感想ではあるが、他にも同様の意見が散見されることがあるので、外れているとも思えない。坂道を息を切らして上っているとそんな風にネガティブに考えてしまうが、しんどいのが終わると考えすぎだと反省したりする。

五剣山の山容

坂道は急だが標高はあまりないのでほどなく85番八栗寺に到着。時刻は12:30。
参拝・納経してゆっくり休んでいると、先ほどの2人が続けて上ってきた。二人ともケーブルにしようかと迷っていたが、結局歩いてきたらしい。十分に休んで出発。
駐車場側から出るが、下り道も果たして車道。アスファルト・急坂という最悪のパターンは終わらない。しかも道は長く下り勾配も21%の急勾配。この辺りはこんな道ばかりで意気が上がらないことおびただしい。

下りも21%

ようやく麓に下りると志度湾が望める。しばらく琴平高松電鉄とJR高徳線に沿って進み、やがて旧道に別れ志度の町に入っていく。こういう道は同じ瀬戸内ということもあってか、伊予辺りからよくある道で、雰囲気も似ている。また雨が降り出したが、もうすぐ着くし雨具を羽織るのも面倒なので、そのまま進む。このあたりは有名な平賀源内の出生地だそうで、旧家などがある。

やがて道の先に塔が見えてくると86番志度寺に到着。時刻は14:30。
今度は平地にありそのまま山門をくぐる。ここは屋根のあるベンチがなく、参拝と納経を済ませたあとは建物のヒサシの下で立ったまま休憩するしかない。その時にまたもやバンダナを落としたことに気づいた。前回落としてしまったのでわざわざ好日山荘で買ったものなのに、たった2回の命だった。とにかく腰にぶら下げて乾かしながら歩くのはご法度だということがわかったが、もう遅い。それにしても遍路に来るたびに何か落として行くのでもう慣れた。

納経所では団体でもないのに一人で十数冊も納経帳を持ち込んでいる人がいてなかなか順番が回ってこない。誰かに頼まれたのかもしれないが、他人に頼んで納経してもらう人ってどうなのだろうか。それも当然ながら車遍路。それならまだ団体できて添乗員に任せている人の方が、本人が現地に来るだけマシだというものだ。

ようやく納経を済ませ、雨も続いているので札所を後にする。今日の宿は近くだが、行く道の途中にあったので500m程引き返す。15時を過ぎて本日の宿であるS荘に到着。最初はもっと札所の近くにあるI旅館に電話したのだが、同じ系列のS荘の方が安いし料理は同じだと向こうから勧められたのでこちらにした。確かに建物は古いがそれも味があり、風呂や食事も素晴らしく、お勧めに従ってよかったと思う。

先ほどの男性も同じ宿で、他にひと組の老夫婦。やはり歩き遍路同士の談義は盛り上がり、散々お話をしてから部屋に戻る。今日は静かなのでゆっくり寝られるだろう。ともかく残す札所はあと2箇所。いよいよ大詰めだ。

宿で荷物を広げる

本日の歩行は44、000歩、30キロ。