OSA日記

旅と食と健康とメンタルと

四国遍路 6_4

5月2日

4日目。

今日は朝食が6時なので、5時には起床する。コースとしては距離が長く峠が2つある今日が一番ハードなので、早立ちするに越したことはない。朝食は目玉焼きとウインナーがあり久々の洋食だが、さすが愛媛、どこでもかならずジャコ天がある。出立の準備をするが、どうも足のマメが心配なので、ジェル絆創膏を貼っておく。

6時40分宿を出発。宿を出てすぐに一つ目の峠である歯長峠への遍路道に入っていく。今日も申し分ない快晴で、ハードな道のりだけにありがたい。

快晴の下、シンメトリーな池



身体が慣れないうちに結構きつい上り坂だったが、噂に聞く鎖場ではないのでまだ序の口で、その後いったん県道に出る。

しばらく舗装路を歩いた後、いよいよメインイベントとなる。鎖場が続く急登はさすがに勾配がきつい。勾配の角度としてはピカイチで、今まででもっとも急な感じだが、それでも休まずに登っていく。幸い距離はそんなになく、緩やかになった道を、息を整えながら歩いていく。

歯長峠への鎖場

7:30歯長峠到着。展望がよく海が見えて気持ちよい。汗だくの身体をしばらく休ませた後は下りに入るが、今度はだらだらとメリハリのない道。今回の峠は上りは急だが下りはだらだら、という峠ばかりだ。道もザレ場とか滑りやすい道ばかりで、歩きにくいことおびただしい。
いい加減イヤになった頃、ダメ押しで高速道路の工事現場横に真新しい階段が出現。下りの階段というのは膝にもっとも負担が来るので辛い。ようやく集落に出て、歯長地蔵横の遍路小屋で休憩。

高速道路の工事現場横を下っていく

ここからは交通量の多い道をずっと歩いていく。やがて町中に入り、宇和高校横を上がって行くと43番へと続いていくが、手前に400mばかり急登があり油断ができない。
汗をかきかき、9:40に43番札所明石寺に到着。ゆっくり拝んで納経所に行くが、今日は参拝客が多く列ができている。納経もすんでベンチでゆっくりしていると、顔見知りの歩き遍路が集結している。
Y屋旅館で同宿だったお兄さんと話をするが、彼はここで打ち終わりとのこと。T屋でも同じだった芦屋から来たEさんとも話をする。この人とは今夜も同じ宿とのこと。一足先に出発する。

ここも遍路道はすぐ山道に入るので、案内を確かめながら遍路道に入る。ここからは下りだと思っていたらもう一山越えるらしい。いきなり急登で峠を越えると卯之町の市街におりていく。卯之町は町並みが見所のようで、観光客でいっぱいだ。店などに寄るつもりもないのでそのまま先へ歩いていく。

卯之町の町並み

町を抜けるとまたまた56号線を歩いていくが、いよいよ足の裏が具合悪い。休憩するところもないので確認もできないが、ドラッグストアを探して湿布と絆創膏を購入しておく。

かなり歩いたところで神社を見つけ、本殿横で腰を下ろして休憩。靴下を脱いでみると、とうとう右足の裏がマメになっていた。しかし同様に痛かった左足は逆に何ともなくなっていて、自分の歩き方がおかしいのだろうかと思う。とにかくマメになってしまったのなら仕方ない。今日はこのまま歩いてマメを育て、宿で治療することにしよう。

マメができてしまったことでかえって開き直って歩いていく。今日はあまり余裕もないので歩きながらコンビニで買ったおにぎりをほおばる。足は痛いし日差しは強く、身体はきついのだが、ある集落で「お遍路さーん」と呼び止められ、ミカンを接待いただき多少元気が復活。

ようやく二つ目の峠である鳥坂峠麓に到着。疲れとマメでかなり気持ちが萎えてしまっていて、道案内もこのまま国道トンネルを抜ければ20分、峠を越すと60分とあるのでフラフラと国道へ行きかけるが、思いとどまって峠への道を選ぶことにする。
心の中では楽な国道へ行こうという声があるが、それを無視して足は勝手に鳥坂峠遍路道へ。やがて峠の入り口にさしかかり、東屋があったので休憩。とにかく疲れた。

気力が底をついてきているような感じだが、それでも残り少ない気力を振り絞って出発、峠への急勾配を登っていく。

息を切らせて歩きながら考える。なぜこんな道を歩くのだろうか?歩き遍路に来たのだから当然と言えば当然だが、楽な道があるのならそちらに行けば良い。別に修行しているつもりもないし、峠の景色がいいわけでもないし・・・結局好奇心なのだろうと思う。行かなければ行かなかった道が後々気になって仕方なくなるのが分かっているのだ。それに看板にもあったではないか、「痛くても辛くても歩ける喜び」と。歩き遍路というのは贅沢なものなのだ。

そんなことを考えているとやがて鳥坂峠に到着。特に何もないので下りに入るが、この峠は下りがかなり急で、途中コンクリートのスロープがあったりしていて辛いの何の。これならまだ階段にしてくれた方がましだと思いながらジグを切って下っていく。とにかく足のマメに負担がかかる!

鳥坂峠からの眺望

ようやく下りきると国道へ続く分岐となる。どうしようかと迷ったが、国道は車がうるさそうなのでそのまま遍路道を進む。人っ子一人いない道の脇には延々と椎茸のホダ木が並べてある。だらだらとダート道を歩いた後は、お約束の急勾配。先ほど同様コンクリートの下りになっていて、とにかく辛い。

国道に出てしばらくするとカラオケ屋があり、その裏でEさんと連れが休んでいたので、声をかけて横に腰を下ろすことにする。今日の目的地は大洲で、ここから1時間くらいだと話していたのだが、それはいつものように甘い見積もりだったようで、国道を下っても川沿いの道を延々と歩いても一向に町に着く気配がない。
それでも頑張って進み肱川が見えてくるとゴールも近く、やがて路地に入ると観光客が多く大洲の市街に入っていく。夕日をバックに大洲城を眺めながら肱川橋を渡り、ようやく今夜の宿のT旅館に到着。

肱川大洲城

T旅館は若いご夫婦が経営していて、暖かく迎えてくれる。宿も真ん中に鯉が泳いでいる池を巡って建てられた珍しい作り。部屋にはマメの治療用に絆創膏やつついて水を出すための針まで用意してあって、歩き遍路のことをとても考えてくれていてありがたい。よくまあこんなタイミングでマメができたものだとも思う。

風呂に入ったあとマメの治療を行う。穴を開けて水を出し、そこへ借りた消毒液を流し込むが、これがかなりシミる。それでも絆創膏を貼りテーピングで圧迫すると完了。お遍路を始めるに当たってマメについて研究していたが、今頃になって役に立つとは思わなかった。

食事もとてもおいしく、竹に太刀魚を巻いて焼いた珍しい料理もあった。今日はがんばったのでビールを飲むことにする。乾いた身体にビールが染みこんでいくようだった。同宿のEさんと話をしながら情報交換。この人とはY屋旅館、T屋とこのT旅館でも同宿で、ほぼ同じ行程なのかしょっちゅう出会っていた人である。

本日の歩行は31キロで64600歩にのぼった。峠を2つ越えてこの歩数では疲れるはずである。
ちなみに消費カロリーは2072kcal、まともに歩けば55キロと出た。