OSA日記

旅と食と健康とメンタルと

四国遍路 7_5

5月4日

5日目

宿坊だけに朝からお勤めがあるということで、6時に本堂に入る。ここに泊まる前から、「仙遊寺の宿坊に泊まる」というと意味ありげにニヤリとされることがあり、理由を聞くと、住職のお説教が長くて1時間半以上あるという。そんなに長いと出立時刻に影響がありそうだが、今日は明日の難所を控えて距離が短いので、多少遅くなってもいいと思っていた。

お坊さんが揃うとお経が始まり、終わると住職がにこやかに話を始めた。主に俗世間の話で、聞く方もわかりやすく興味を持てる内容だった。時間も30分程度だったので、随分短くなったらしい。住職はとても気さくな人で、1000年以上前に作られた国宝級の本尊(千手観音)も気軽に「写真撮っていいですよ、本尊なんて隠すものでもない」と言ってくれたので、ちょうど持っていたカメラにおさめることが出来た。

仙游寺の御本尊

朝食はお粥をメインとしたもので、身体に良さそうだった。食事を終え離れに戻る時に、中庭に例のシェパードが放されておりちょっとビビったが、檻から出ると人なつこそうな犬で、入り口までフレンドリーについてきて一言も吠えなかった。

宿坊の部屋

7時30分出発。昨日の急激な登りを今度は下ることになるが、昨日と打って変わっていい天気で足取りも軽やかに下っていく。山門を出て車道に出るが、すぐに遍路道へと別れさらに下っていく。これが石段に負けず劣らず急で、五郎兵衛坂というらしい。調子にのってヒザを痛めないように慎重にジグを切って下っていく。

五郎兵衛坂を下っていく

下り切るといつものような田園地帯を進んでいく。振り返ると先ほど下ってきた山があり、山頂近くに建物が眺められる。下ってみるとあんな所から来たのか、と驚くことしばしばである。

予讃本線の線路を渡りしばらく行くと、59番国分寺に到着。国分寺は各国に建立されたので四国には4つある。いずれも札所で、今回で3カ所目。讃岐にもう1カ所あるはずだ。

今日は時間がたっぷりあるので、ベンチに座ってゆっくり休憩する。ここには握手修行大師という像があり、握手するように手を突き出した大師像である。握手しながらお願い事をするとかなうとのことだが、「お大師様は忙しいので、願い事は一つで」などと書かれている。手を握りながら今回の道中の無事をお願いした。

握手修行大師

ゆっくり休憩してから出発。地図を見るからに後の行程は楽しくなさそうだ。旧道をから交通量の多い国道を延々と歩き、今度はアップダウンの多い高速道路の側道や古い町並みなどをずっと歩く。休憩する場所も1カ所くらいしかなく、当然食事するような店もない。

地図にスーパーの記載があったので期待していたが、雑貨屋に毛の生えたようなもので、結局昼食は菓子パンとタルトだった。今日は距離が短いうえ、札所も1カ所で他に休めそうな所も見あたらないのでかなり早く着いてしまうことが予想されたが、案の定1時台には着いてしまいそうな感じになってきた。

田んぼのあぜ道で休んだり、目的地である丹原の町でスーパーを発見したので寄ったりして時間をつぶし、それでも本日の宿泊地であるS旅館に着いたのは午後2時だった。

S旅館は民家に毛が生えたような作りだったがやはり遍路宿で、こんな時間に着いたにも関わらずすでに先客もおり、女将さんも大変愛想良く迎えてくれる。洗濯は接待でやってくれるし、ほどなく風呂の準備はできるし、とてもいい宿であった。

S旅館の部屋

先客はO屋でも仙遊寺でも同じだった脚の速いおじさんで、食事の時に聞いたら1時過ぎに宿に入ったらしい。食事は焼きたてのサンマが中心のヘルシーで美味なものだった。明日はみな難所に挑むためさまざま情報交換をし、早々に部屋に戻って休む。

本日の歩行は36,500歩、22.1キロで、今行程ではもっとも短かった。だから話も短いわけだ。